小さなアスリートの挑戦
ある日のこと、まだ7か月の小さな赤ちゃんは
ソファーのへりに手をかけて立っていた。
いつもよりも30センチ高いところから眺めると
そこにはいつもと違う光景が広がっていて
そばで見守る人に笑顔を見せずにはいられない。
ふと、床を見て玩具に気づいて触りたくなった。
どうやって床に移行する?
日ごろから高速ハイハイで鍛えられた脚・腰だけど
しゃがむためには使ってないから見当がつかない。
自分の身体をどう動かしたらいいの?
可愛いお膝はロックされ、
困惑した表情で、困惑した声が発せられた後、
意を決して? ドスン!とお尻から着地!!
なんとも痛そうな方法、でもこれしか知らない。
お気に入りの玩具を触って満足した赤ちゃんは
再びソファーのへりに手をかけて立ち上がる。
そしていつもよりも30センチ高いところから眺め
そこに広がるいつもと違う光景をしばらく楽しむ。
満足、満足。
そして玩具が見えてまた触りに行きくなり、
ドスン!となんとも痛そうな音が聞こえる
何度か同じことが繰り返される中、
そばで見守っていた人は、
そっと赤ちゃんのお尻を支えて、
脚にふれながら、
こうやってすわるんだよ、
そーっと、そーっと、ひざを曲げて~
そうそう、上手だねぇ。
そうそう、こうやって、こうやって…と
赤ちゃんに優しく声をかけながら
赤ちゃんが自分でロックしていたひざに手をやり
ひざを曲げるのを手伝った。
しずかにその場に
ゆっくりお尻をつけて座れた、その瞬間
おぉ?!広がる笑顔
そばで見守る人も笑顔
この痛くない座り方(方法)は、
とても気に入ってもらえたようで、そこから
「自分でお膝を曲げて、そのままそこにしゃがむ」
ことを目指し、トレーニングは開始された。
誰から言われるでもなく
誰にやらされるわけでもなく
いそいそと、自主的に、楽しくて嬉しくて、
時に真剣なまなざしで、やりたいからやる
そこには喜びしかない
あぁ、内的動機づけのすばらしさよ
小さなアスリートは、そのあと機会がある度に
膝をまげてその場にしゃがめることを目標に
トレーニングに励んでは 笑顔を見せ、
さらに、そばで見守る人たちをも笑顔にした。
(つづく ^^)