藍色の瞳を持つ姫の幼少期

我が家には 藍色の瞳を持つ姫がいる

14年前の6月に初めて出会った仔

 

最初は夢の中で

グレーの毛皮が入った箱を手渡され受けとる姿

(…を何故か私はななめ上から見てたんだな)

 

その次はある方の自宅の車庫で

ママに甘えたりきょうだいたちと走り回ってる姿

 

あれ?これって??

あまりにも偶然すぎてびっくりして

 

動物と暮らしたことないのに

この先も暮らす予定なんてまったくなかったのに

 

頭で考えるよりも先に、口が勝手にしゃべって

「この仔をもらいたいな」と言ってしまった

 

もし先に毛皮を見てなかったら、

そんな展開にはならなかったと思う

育てられるはずがない、と

引き取ることなんてみじんも考えなかったと思う

 

でも姫はその後、我が家に来ることになってたから

そう、来なければならなかった理由があったから

いろいろな出来事は事前に必要だったんだ、

とあとで納得した

ヤマアジサイ 藍姫

ヤマアジサイ 藍姫

生まれて3か月はママや兄弟といることになってた

でも3か月もたつとすっかり成長してしまう

 

赤ちゃんの時の姿を 

きょうだいと一緒にいる時の姿を

目にやきつけておきたい 

いくら里親とはいえ 

小さいときの姿も見ておきたい 

 

無理を言い

ママと別れて室内にあがった姿を

数時間見せてもらった

兄弟と団子になり眠り、取っ組み合いを繰り返す姿

唯一の女の子だった姫は

どうしても体格的に一回り小さくて

だから本気の取っ組み合いになると負けていた

 

ガブガブ咬みつかれて端に逃げていく姿を見てたら

その人は言った

 

みててごらん

この仔は、またいくから…

身体は小さいけど 一番ガッツがあるんだよ…

やられても全然負けてないよ…一番気は強い

また行くから、みててごらん

 

ガブガブ! ケリケリ!! 

三つ組みになって真剣勝負

あ、またやられてる 痛そう!!!

姫、逃げる しばらく休憩 

でも本当だった

 

姫は、再び兄弟のところに行って絡みはじめ

そのあとはまた取っ組み合いになる

やられてもまた同じことがくりかえされた

すごいなぁ・・・この仔。

本当、気が強いなぁ。

藍姫の藍色は年によって違う気がする

そして8月のある日、お迎えに行った

一人の仔はすでに他の家に移動してた

 

姫がもう一人の仔と遊んでいる姿を眺めてたり

膝の上でうっとりとしながら撫でてもらう姿を

そばでしばらく見てた

 

鼻の先からゆっくりと額、頭、背中、しっぽまで

右の手がいったら すぐに左の手がきて

ゆーっくり ゆーっくり

丁寧に 丁寧に

 

いつか貰われていくから…と

居る間に。出来るだけ。 

もう一人の仔よりもずーっと沢山。

 

そうしたら

膝の上で名前を呼んで撫でてもらうのが

すっかり好きになったと。

 

 

・・・そろそろ 行く?と声がして

新しい家に行くのは不安だろうから、と

準備されていたお持たせグッズのあれこれを

たくさんいただいた

 

今ならもっとわかったのだろうけど 

その当時の私には 

自分のことや

その先の共同生活のことで

頭がいっぱいで

 

その瞬間 その別れの瞬間に

目の前に繰り広げられていた物事には

とても思いを馳せられてなかった

 

たとえまなざしに気づいて思いを向けたとしても

ピンとこないことばかりだったと思う

 

滑り落ちないように何度も確認しながら

シートベルトを着けて

「はい、これで大丈夫!」と

笑顔で送り出した後は

一度も振り返らずに玄関に入っていった背中

 

いまその場面をリアルに回想してる

いろんなことが痛いほど伝わってくる…

 

 

姫は本当に愛されて

かわいがってもらってた

 

だから

今だに同じ姿勢で膝に乗りたがるし

同じ方向から撫でてもらうことを好む

 

鼻の先からゆっくりと額、頭、背中、しっぽまで

右の手がいったら すぐに左の手がきて

ゆーっくり ゆーっくり

丁寧に 丁寧に

 

 

姫は本当に愛されて

かわいがってもらってた

 

だから

いつだって愛情をたっぷりたたえた瞳で

綺麗な瞳でまっすぐに見つめてくる

 

天からの宝物

 

ヤマアジサイ花言葉:乙女の愛 切実な愛